プラセンタ療法
プラセンタとは?
赤ちゃんとお母さんとをつなぐ「胎盤」のことをプラセンタといいます。
胎盤には以下の役割があります。
- 酵素や必要な栄養素、老廃物の交換
- ホルモン分泌、免疫付与
- 細胞分化の誘導
- 10か月の短期間に1個の受精卵から約40~60兆個の細胞に分化させる
プラセンタには、胎児の成長に必要な豊富な栄養素(アミノ酸、蛋白質、糖質、ビタミン、核酸、活性ペプチド、脂質・脂肪酸、ムコ多糖体、ミネラル、酵素など)が豊富に含まれています。
プラセンタの安全性
注射剤が販売されて約50年間、注射が原因とされる感染症の報告はありません。
① 原料の安全性について
胎盤提供者への渡航歴等の問診及び、提供者一人一人について、B型・C型肝炎ウイルス、HIV(後天性免疫不全症候群AIDSの原因ウイルス)、HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)、HPV/B19(ヒトパルボウイルスでりんご病等の原因ウイルス)の血清学的検査を実施し、全て陰性である事が確認された安全な胎盤を原料としています。
② 製造方法による安全性について
塩酸加水分解法により製造されています(101℃以上、1時間以上の過熱)。
過熱滅菌として、高圧蒸気滅菌を121℃、60分間(中間工程)及び121℃、30分間(製造工程の最後)行っています。
この製造方法により、各種ウイルス・細菌は不活化され、製造中にホルモン、副作用の懸念されるホルモンなどの蛋白質は含有しない事を確認しています。
③ 製品検査
各種製品検査を実施し、B型・C型肝炎ウイルス、HIVに関しては核酸増幅検査(NAT)を実施しています。
はそのため、注射の中には、副作用の懸念されるホルモンや血液などは一切含まれません。
このように、製品の安全性が図られておりますが、未知のウイルス等に由来する感染症や変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(狂牛病の原因)の伝播リスクを論理上完全には排除できません。その為、厚生労働省よりの措置として、献血ができなかったり、臓器移植ドナーとなる事に制限がかかる事もあります。
プラセンタで期待される効果
プラセンタの薬理効果に対する研究は数多く成されており、幾多の有用な作用が確認されてきています。
- ①自律神経調節作用
- ②基礎代謝向上作用
- ③免疫賦活作用
- ④抗疲労作用
- ⑤アレルギー作用
- ⑥血行促進作用
- ⑦内分泌調節作用
- ⑧強肝・解毒作用
- ⑨乳汁分泌促進作用
- ⑩肉芽形成促進作用
- ⑪活性酸素除去作用
- ⑫抗炎症作用
- ⑬抗貧血作用
- ⑭体質改善作用
- ⑮抗突然変異作用
効果のあるとされる疾患
内科 | 慢性肝炎、慢性胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、糖尿病、高血圧、低血圧、気管支喘息、慢性気管支炎、貧血、慢性疲労、習慣性便秘 など |
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婦人科 | 更年期障害、月経痛、月経不順、月経全症候群、乳汁分泌不全、高プロラクチン血症、など |
整形外科・外科 | 関節リウマチ、変形性関節症、関節炎、神経痛、腰痛、五十肩 など |
皮膚科 | アトピー性皮膚炎、湿疹、乾癖、脇臭、シミ、そばかす、しわ、たるみ、ニキビ など |
眼科 | 角膜炎、アレルギー性結膜炎、視力低下、白内障 など |
耳鼻咽喉科 | アレルギー性鼻炎、メニエール病、花粉症 など |
歯科 | 歯周病 など |
精神神経科 | うつ病、自律神経失調症、不眠症 など |
その他 | 疲労、冷え性、虚弱体質、神経痛、病中・病後の体力回復、強壮・強精、風邪予防、発毛促進効果 など |
プラセンタ注射はこのような方にお勧めです
- お肌の衰えが気になる(ハリ、シワ、くすみなど)
- 冷え性に悩んでいる
- 生理痛、生理不順
- 生理前にニキビが悪化する
- 更年期障害と医師が診断した場合(メルスモンは保険適用となります)
- 慢性的な疲労感がある
- 疲れやすい
- 肩こり、腰痛 など
- 肝障害を指摘されている(状況により、ラエンネックは保険適用となります)
SMI(更年期指数)
更年期症状の重症度をみる方法はいくつかありますが、更年期指数(SMI)は、簡便に更年期の不調をチェックするものです。
ただし、たとえ点数が低くても、辛い症状がひとつでもあるようなら、婦人科の受診をお勧めします。また、骨粗鬆症や動脈硬化などの生活習慣病が隠れていることもあります。
強 | 中 | 弱 | 無 | |
1.顔がほてる | 10 | 6 | 3 | 0 |
2.汗をかきやすい | 10 | 6 | 3 | 0 |
3.腰や手足が冷えやすい | 14 | 9 | 5 | 0 |
4.息切れ、動悸がする | 12 | 8 | 4 | 0 |
5.寝つきが悪い、または眠りが浅い | 14 | 9 | 5 | 0 |
6.怒りやすく、すぐイライラする | 12 | 8 | 4 | 0 |
7.くよくよしたり、憂うつになることがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
8.頭痛、めまい、吐き気がよくある | 7 | 5 | 3 | 0 |
9.疲れやすい | 7 | 4 | 2 | 0 |
10.肩こり、腰痛、手足の痛みがある | 7 | 5 | 3 | 0 |
合計点 |
SMIの評価
0~25点 | 異常なし |
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26~50点 | 食事、運動に気を付け、注意を |
51~65点 | 更年期・閉経外来を受診しましょう |
66~80点 | 長期間にわたる計画的な治療が必要 |
81~100点 | 各科の精密検査にもとづいた長期の計画的な治療が必要 |
副作用
頻度5%以上
注射部位の疼痛、発赤
頻度0.1~5%未満
過敏症(悪寒、発熱、発疹、痒みなど)
女性化乳房
肝機能障害(AST・ALT上昇など)
頭痛 など
投与方法
通常、1日1回1~3アンプル(2~6ml)を週1~3回、皮下注射
*保険適応は1回1アンプルで月に15アンプル以内の使用
2週間以上は継続する事が勧められる
投与期間(目安)
費用
保険適応となる場合、ならない場合(自費治療)があります。
①保険適応治療
ラエンネック:慢性肝疾患における肝機能の改善 1回1アンプル皮下ないし筋肉注射
メルスモン:更年期障害(45-59歳の女性)、乳汁分泌不全
1回1アンプル皮下注射 週1~3回投与(月15アンプル以内)
初診患者様:約1,120円/再診患者様:約510円
別途、肝機能検査や女性ホルモン検査(血液検査)の費用もかかります。
②自費治療
初診料:2,200円(消費税込み)
メルスモン:1A 1,100円 追加1A毎に550円(消費税込み、但し1回の注射で合計3Aまで)
ラエンネック:1A 1,100円 追加1A毎に550円(消費税込み、但し1回の注射で合計3Aまで)